「青色申告にすると得だと聞くけれど、何が違うの?」「手続きはいつまでに必要?」――開業したばかりの方や、法人を作った方からよくいただく質問です。この記事では、白色申告との違い、65万円控除を受けるための条件、赤字の繰越しなどの主な特典と、承認申請の期限をやさしく整理します。
- 白色申告と青色申告の違い
- 65万円・55万円・10万円の控除を受ける条件
- 赤字の繰越し・専従者給与・少額減価償却資産などの特典と、申請の期限
01BLUE VS WHITE白色申告と青色申告のちがい
青色申告は、きちんと帳簿をつける代わりに、税金面の特典が受けられる制度です。
| 白色申告 | 青色申告 | |
|---|---|---|
| 事前の届出 | 不要 | 「青色申告承認申請書」の提出が必要 |
| 帳簿のつけ方 | 簡易な記帳でよい | 複式簿記(または簡易簿記) |
| 特別控除(個人) | なし | 最大65万円 |
| 赤字の繰越し | 原則できない | できる(個人3年・法人10年) |
| 家族への給与 | 控除額に上限あり | 届け出た範囲で経費にできる |
| 40万円未満の資産 | 原則どおり償却 | 一括で経費にできる特例あり |
法人も個人も、事業をするなら青色申告が基本です。手間は会計ソフトでかなり減らせるので、特典を受けない理由はほとんどありません。
02SPECIAL DEDUCTION65万円・55万円・10万円控除の条件
個人事業主の「青色申告特別控除」は、帳簿のつけ方と提出方法で金額が変わります。
- 複式簿記で記帳
- 貸借対照表と損益計算書を添付
- 期限内に申告
- e-Taxで申告、または優良な電子帳簿保存
- 複式簿記で記帳
- 貸借対照表と損益計算書を添付
- 期限内に申告
- (e-Tax等の条件なし)
- 簡易簿記で記帳
- 損益計算書を添付
- 期限後の申告でも可
控除額は、所得税だけでなく住民税・国民健康保険料の計算にも影響します。同じ帳簿でも、e-Taxで出すだけで55万円が65万円になります。
「複式簿記+e-Tax+期限内申告」の3つがそろえば65万円です。クラウド会計なら、日々の入力から複式簿記の帳簿が自然にできあがります。
03LOSS CARRYFORWARD赤字を翌年以降に繰り越せる
青色申告なら、今年の赤字を将来の黒字と相殺して、税金を減らせます。
- 「純損失の繰越し」
- 翌年から3年間繰り越せる
- 赤字の年も確定申告が必要
- 「欠損金の繰越し」
- 翌期から10年間繰り越せる
- 中小法人は所得の全額まで相殺できる
赤字の年も、期限内に青色で申告しておくことが条件です。「赤字だから申告しなくていい」は、繰越しの権利を失うもとになります。
04OTHER BENEFITS家族への給与と、少額の資産の特例
ほかにも、家族に払う給与や、少額の備品の購入で使える特典があります。
- 事業を手伝う家族への給与を経費にできる
- 生計を一にする15歳以上の親族で、ほぼ専業で働く人が対象
- 事前に届出書を出し、その範囲内で支払う
- 40万円未満の資産を一括で経費にできる(2026年4月以後の取得分から)
- 年間の合計300万円まで
- 青色申告の中小企業者等が対象
白色申告にも家族の分の「事業専従者控除」はありますが、控除できる金額に上限があります。また、資産の金額による扱いは次のとおりです。
| 取得価額 | 白色申告 | 青色申告(中小企業者等) |
|---|---|---|
| 10万円未満 | 一括で経費 | 一括で経費 |
| 10万円以上20万円未満 | 一括償却資産(3年で均等に経費) | 一括償却資産、または特例で一括経費 |
| 20万円以上40万円未満 | 通常の減価償却 | 特例で一括経費(年300万円まで) |
| 40万円以上 | 通常の減価償却 | 通常の減価償却 |
※少額減価償却資産の特例は、令和8年度の税制改正で「40万円未満」に引き上げられ、2029年3月31日まで延長されました(2026年3月以前の取得分は30万円未満)。専従者になった家族は、配偶者控除・扶養控除の対象外になります。
05HOW TO APPLY青色申告承認申請の期限
青色申告は、期限までに「承認申請書」を税務署に出さないと使えません。
| ケース | 提出期限 |
|---|---|
| 個人:新しく開業した | 開業日から2か月以内(1月1日〜15日開業は3月15日まで) |
| 個人:すでに白色で申告している | 青色にしたい年の3月15日まで |
| 法人:新しく設立した | 設立から3か月を経過した日と、第1期の末日のいずれか早い日の前日まで |
| 法人:設立2期目以降に切り替える | 青色にしたい事業年度の開始日の前日まで |
個人は開業届、法人は法人設立届出書と同時に出すと、出し忘れを防げます。
青色事業専従者給与を使う場合は、別の届出書が必要です。
会計ソフトで複式簿記の帳簿をつけ、e-Taxで申告できる準備をします。
期限を1日でも過ぎると、その年(その期)は白色申告になります。当事務所では、開業・設立のときに青色申告の届出もまとめてサポートしています。
- 青色申告は、帳簿をきちんとつける代わりに税金の特典が受けられる制度
- 個人の特別控除は「複式簿記+e-Tax等+期限内申告」で65万円、複式簿記だけなら55万円、簡易簿記は10万円
- 赤字は個人で3年、法人で10年繰り越せる。赤字の年も期限内の申告が必要
- 承認申請には期限がある。開業・設立のときに忘れずに提出を
Q&AFAQよくあるご質問
Q副業でも青色申告はできますか?
事業所得や不動産所得(事業的規模など)がある方なら、青色申告ができます。副業の収入が「雑所得」にあたる場合は対象外なので、所得の区分を確認しましょう。
Q申請の期限を過ぎてしまいました。どうなりますか?
その年(その期)は白色申告になります。翌年(翌期)から青色にするために、改めて期限までに申請書を提出しましょう。
Q簡易簿記から始めて、あとで65万円控除にできますか?
できます。複式簿記に切り替えて、e-Taxで期限内に申告すれば、その年から65万円控除の対象になります。届出のやり直しは不要です。
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※本記事は2026年10月時点の一般的な内容です。個別のご判断は、お気軽にご相談ください。

