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コラム2026年10月6日

【節税③】経営セーフティ共済と小規模企業共済|しくみと注意点

「決算前の節税として共済をすすめられたけれど、どんなしくみ?」「2つの共済は何が違うの?」――よくいただくご相談です。どちらも国の機関(中小機構)が運営する制度で、掛金が経費や所得控除になりますが、受け取るときの税金や解約のタイミングにも注意が必要です。この記事では、2つの共済のしくみと上手な使い方を整理します。

  • 経営セーフティ共済と小規模企業共済の違い
  • 掛金の扱いと、解約・受け取りのときの税金
  • 個人事業主・法人それぞれの使い方と注意点

01COMPARISON2つの共済を比べてみる

名前は似ていますが、目的も、税金の扱いもまったく違う制度です。

経営セーフティ共済小規模企業共済
正式名称中小企業倒産防止共済小規模企業共済
目的取引先が倒産したときの資金の備え経営者の退職金・廃業時の備え
契約者会社または個人事業主個人事業主・会社の役員など(個人)
掛金月5,000円〜20万円(総額800万円まで)月1,000円〜7万円
掛金の扱い会社の損金/個人の必要経費個人の所得控除(全額)
受け取るとき解約手当金は益金(収入)退職所得・公的年金等の雑所得など

セーフティ共済は「事業の経費」、小規模企業共済は「経営者個人の所得控除」です。法人の場合、小規模企業共済の掛金は会社の経費にはならず、役員個人が支払って控除を受けます。

02SAFETY MUTUAL AID経営セーフティ共済のしくみ

取引先の倒産に備える制度ですが、掛金が全額経費になるため、節税にも使われています。

掛金は全額経費

月5,000円〜20万円の範囲で選べ、法人は損金、個人事業主は必要経費になります。掛金の総額は800万円までです。

倒産時の貸付

取引先が倒産して売掛金などが回収できないとき、掛金総額の最大10倍(上限8,000万円)まで無担保・無保証人で借りられます。

解約金は収入に

解約すると解約手当金が戻りますが、法人は益金、個人は事業の収入になり、その年の税金の対象になります。

解約のタイミングと戻ってくる金額

12か月未満戻らない掛金は掛け捨てになる
12か月〜40か月未満元本割れ掛金総額の一部しか戻らない
40か月以上全額戻る掛金総額の100%が戻る

セーフティ共済は「税金をなくす」制度ではなく、「税金のかかる時期をずらす」制度です。解約する年に大きな収入が立つので、赤字の年、設備投資をする年、役員退職金を払う年などに合わせて解約するのが基本です。

03SMALL BUSINESS MUTUAL AID小規模企業共済のしくみ

経営者のための「退職金づくり」の制度で、掛金は全額が所得控除になります。

全額が所得控除

月1,000円〜7万円の範囲で選べ、全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得から差し引かれます。

加入できる人

従業員が一定数以下の個人事業主や、会社の役員などが対象です。

掛金内で借入

払い込んだ掛金の範囲内で、事業資金などの貸付を受けられる制度もあります。

受け取り方と税金の扱い

受け取り方税金の扱い
廃業・退任時に一括で受け取る退職所得(退職所得控除が使え、税負担が軽くなりやすい)
廃業・退任時に分割で受け取る公的年金等の雑所得(公的年金等控除の対象)
一括と分割を組み合わせるそれぞれの区分で課税
任意に解約する一時所得(加入期間が短いと元本割れ)

小規模企業共済は、受け取るときにも税制上の優遇があるのが大きな特徴です。ただし、途中で任意解約すると扱いが不利になるので、長く続けられる掛金にしましょう。

04HOW TO USE個人事業主と法人、それぞれの使い方

同じ共済でも、個人事業主と法人とでは、使い方が少し変わります。

個人事業主の場合
  • セーフティ共済の掛金は事業の必要経費
  • 小規模企業共済の掛金は本人の所得控除
  • 2つとも加入して、所得税・住民税を減らせる
  • 法人化のときは、各共済の引き継ぎ方を事前に確認
法人の場合
  • セーフティ共済は会社が契約し、掛金は損金
  • 小規模企業共済は役員個人が契約・支払い
  • 役員報酬と組み合わせて、個人の税負担も軽くできる
  • 解約手当金は役員退職金の支払い年などに合わせる

※役員報酬の決め方は、コラム06『【節税②】役員報酬の決め方|会社と個人の税金・社会保険のバランス』で解説しています。

05CAUTIONS加入する前に知っておきたい注意点

「とりあえず入れば節税」ではなく、出口まで考えて加入することが大切です。

短期の解約は損

セーフティ共済は40か月未満、小規模企業共済も加入期間が短いうちの解約は、元本割れや掛け捨てになります。

資金繰りを圧迫しない

掛金は経費になっても、お金は外に出ていきます。手元資金に余裕のある範囲で決めましょう。

解約後の再加入に注意

セーフティ共済を解約してから再び加入した場合、一定期間は掛金が損金・必要経費にならないルールがあります。

申告で手続きが必要

法人がセーフティ共済の掛金を損金にするには、申告書に明細書を添付する必要があります。

当事務所では、決算前の利益の見込みをもとに、共済の掛金や解約のタイミングをご提案しています。

この記事のまとめ
  • 経営セーフティ共済は掛金が経費(月5,000円〜20万円・総額800万円まで)、解約手当金は収入になる
  • セーフティ共済は「税金の時期をずらす」制度。40か月未満の解約は元本割れなので、解約のタイミングが大切
  • 小規模企業共済は掛金(月1,000円〜7万円)が全額所得控除。受け取るときも退職所得などの優遇がある
  • どちらも出口まで考え、資金繰りに無理のない掛金で加入する

Q&AFAQよくあるご質問

Q決算の直前に加入しても、その期の経費になりますか?
A

セーフティ共済は、加入して実際に払い込んだ掛金が経費になります。1年分を前払いする「前納」の制度もありますが、加入手続きには時間がかかるため、早めに準備しましょう。

Q法人の役員ですが、小規模企業共済の掛金を会社が払えますか?
A

小規模企業共済は役員個人の契約のため、会社が払っても会社の経費にはなりません。役員報酬の中から個人で支払い、ご自身の確定申告や年末調整で控除を受けます。

Qセーフティ共済は、何年くらい続けるのがよいですか?
A

40か月以上続ければ掛金の全額が戻ります。そのうえで、赤字の年や大きな支出がある年など、解約手当金を受け取っても税負担が増えにくい時期に解約するのが一般的です。

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※本記事は2026年10月時点の一般的な内容です。個別のご判断は、お気軽にご相談ください。

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