「今期は利益が出そうなので、決算前に何かできませんか?」――決算が近づくと、よくいただくご相談です。決算の直前でも打てる対策はありますが、時間がないほど選択肢は少なくなります。この記事では、決算前にできる節税と、やってはいけない節税、そして節税と手元資金のバランスについて整理します。
- 決算3か月前に「着地見込み」を出す理由
- 決算前にできる6つの対策と、それぞれの条件
- やってはいけない節税と、手元資金を守る考え方
01FORECASTまずは決算3か月前に「着地見込み」を出す
節税の第一歩は、今期の利益がいくらになりそうかを早めにつかむことです。
ここまでの実績に、残りの月の売上・経費の予想を足して、今期の利益を見積もります。
利益の見込みから、納める税金のおおよその金額を計算できます。
3か月前なら、多くの対策がまだ間に合います。前提は、月次の帳簿が毎月そろっていることです。
役員報酬は、原則として事業年度の開始から3か月以内にしか変えられません。決算直前の調整には使えないので、ほかの対策で考えます。
02WHAT YOU CAN DO決算前にできる6つの対策
どれも「実態があること」と「ルールどおりに処理すること」が前提です。
今期に受けたサービスで、支払いが翌期になるもの(今月分の外注費・水道光熱費など)は、今期の経費にできます。
従業員への決算賞与は、一定の要件を満たせば、支払いが翌期でも今期の経費にできます。
本当に必要なパソコンや備品なら、金額によっては購入した年に経費にできます。
経営セーフティ共済の掛金は損金(個人は必要経費)になります。
売れる見込みのない在庫を廃棄すると、その分を経費にできます。
建物や設備の修理を今期中に終えると、修繕費として経費にできる場合があります。
| 対策 | 押さえておきたい条件 |
|---|---|
| 未払費用 | 今期中にサービスを受け終わり、金額が確定していること |
| 決算賞与 | 期末までに全員へ各人別の支給額を通知し、通知から1か月以内に支払い、今期に経費として計上すること |
| 少額資産 | 10万円未満は一括で経費。中小企業者等は40万円未満(年300万円まで)の特例あり |
| 共済 | 経営セーフティ共済の掛金は月5,000円〜20万円・総額800万円まで。解約手当金は益金(収入)になる |
| 不良在庫 | 廃棄の日付・数量がわかる記録(廃棄証明・写真など)を残すこと |
| 修繕 | 今期中に工事が終わっていること。価値を高める改良は「資本的支出」として資産になる |
03DO NOTやってはいけない節税
税金を減らすことだけを目的にすると、かえって会社のお金や信用を失います。
使う予定のない物を買っても、税金が減るのは支払額の一部だけ。お金は確実に出ていきます。
実際にない取引を経費にするのは脱税です。重加算税の対象になり、信用も失います。
今期の売上を翌期に回したり、翌期の経費を今期に入れたりするのは、税務調査でよく指摘されます。
「節税になる」と勧められても、結局は手元のお金が減るだけ、という対策も少なくありません。
期ズレは「いずれ翌期に税金がかかる」だけでなく、過少申告加算税や延滞税がかかることもあります。
04CASH FIRST節税と手元資金のバランス
節税で残るお金より、出ていくお金のほうが多くなることがあります。
- 税金は減るが、減るのは100万円の一部だけ
- 残りは手元から出ていく
- 本当に必要な支出なら問題なし
- 税金を払っても、利益の残りは手元に残る
- 自己資本が厚くなり、決算書の見た目もよい
- 金融機関の評価・融資にもプラス
赤字や利益が少なすぎる決算書は、融資の審査で不利になることがあります。「税金をゼロにする」より、「必要な支出をして、残りはきちんと納める」ほうが、会社は強くなります。
判断の基準は「その支出がなくても、今期必要だったか」です。迷ったら、まずご相談ください。
05SCHEDULE決算前のスケジュール
3か月前から逆算して動くと、慌てずに対策できます。
当事務所では、記帳代行から申告まで一貫して担当し、決算前に着地見込みと対策をご提案しています。
- 決算3か月前に着地見込みを出すと、打てる対策が多い
- 未払費用・決算賞与・少額資産・共済・不良在庫の処分・修繕は、条件を守れば決算前でも使える
- 不要な買い物・架空経費・期ズレは、お金や信用を失うもとになる
- 税金を減らすことより、手元資金を残すことを優先して考える
Q&AFAQよくあるご質問
Q決算月に入ってからでも、できる対策はありますか?
あります。未払費用の計上や不良在庫の処分、決算賞与の通知などは、期末までに間に合えば使えます。ただし選択肢は少なくなるので、早めのご相談がおすすめです。
Q決算賞与は役員にも出せますか?
役員への賞与は、事前に届け出た「事前確定届出給与」などでなければ、原則として経費(損金)になりません。決算前の対策としては、従業員への決算賞与が中心になります。
Q経営セーフティ共済は、入れば必ず得になりますか?
いいえ。掛金は経費になりますが、解約したときの解約手当金は収入になります。解約する時期を、退職金の支払いや赤字の年に合わせるなどの計画が大切です。
沖税理士事務所では、記帳代行から決算・申告、節税のご提案、税務調査の立ち会いまで、クラウド会計とオンラインで一貫してサポートしています。専用LINEなら、土日祝も24時間以内にお返事します。
※本記事は2026年10月時点の一般的な内容です。個別のご判断は、お気軽にご相談ください。

