「総支給額と手取りは、なぜこんなに違うの?」「給与から何が引かれているの?」――はじめて従業員を雇う会社の方から、よくいただく質問です。この記事では、総支給額から手取りまでの計算を1つずつ分解し、社会保険料・雇用保険料・所得税・住民税のしくみと、毎月の給与計算の流れをご紹介します。
- 総支給額の内訳と、そこから引かれる4つのもの
- 社会保険料・雇用保険料・所得税・住民税の決まり方
- 残業代の割増率と、毎月の給与計算の流れ
01OVERVIEW総支給額から手取りまで
手取りは「総支給額」から「社会保険料」「雇用保険料」「所得税」「住民税」を引いた金額です。
総支給額の内訳
毎月決まって支払う給与の土台です。
役職手当・家族手当・住宅手当など、会社ごとに決めた手当です。
時間外・深夜・休日に働いた分の割増賃金です。
一定額までは所得税がかかりません。ただし社会保険料の計算には含めます。
通勤手当は「所得税はかからないのに、社会保険料の計算には入る」という点で、間違えやすいところです。
02SOCIAL INSURANCE社会保険料のしくみ
健康保険・厚生年金の保険料は、毎月の給与そのものではなく「標準報酬月額」をもとに計算します。
給与を一定の幅ごとに区切った「等級」にあてはめた金額です。これに保険料率をかけます。
毎年4〜6月の給与の平均をもとに、9月分から1年間の標準報酬月額を決めます。
昇給などで固定的な給与が変わり、大きな差が3か月続いたときに見直します。
40歳から64歳までの方は、健康保険料に介護保険料が上乗せされます。
※保険料は会社と従業員で折半します。保険料率は加入している健康保険や都道府県、年度によって異なります。
4〜6月に残業が多いと、その後1年間の保険料が高くなることがあります。
03EMPLOYMENT INSURANCE雇用保険料と所得税
雇用保険料は総支給額に料率をかけて、所得税は「月額表」を使って求めます。
- 毎月の総支給額(通勤手当を含む)に料率をかける
- 料率は毎年度見直され、業種によっても異なる
- 2026年度の一般の事業は、本人負担 5/1000(会社負担 8.5/1000)
- 社会保険料などを引いた後の金額で計算
- 「扶養控除等申告書」の提出の有無と扶養の人数で、甲欄・乙欄を判定
- 国税庁の「源泉徴収税額表(月額表)」にあてはめる
「扶養控除等申告書」を出していない人は乙欄となり、天引きされる所得税が高くなります。入社時に必ず提出してもらいましょう。
04RESIDENT TAX住民税の特別徴収
住民税は会社が計算するのではなく、市区町村から届く通知の金額を毎月天引きします。
※住民税の納期の特例は、12月10日と6月10日の年2回です(給与支払人員が常時10人未満で、市区町村の承認が必要)。
住民税の天引き額は毎年6月に変わります。給与ソフトの設定を忘れずに更新しましょう。
05OVERTIME残業代の割増率
時間外・深夜・休日に働いた分は、通常の賃金に割増率をかけて支払います。
| 働いた時間 | 割増率 |
|---|---|
| 時間外労働(1日8時間・週40時間を超えた分) | 25%以上 |
| 深夜労働(午後10時〜午前5時) | 25%以上 |
| 休日労働(法定休日) | 35%以上 |
| 月60時間を超える時間外労働 | 50%以上 |
※時間外労働が深夜におよんだ場合は、割増率を合わせて50%以上になります。
06MONTHLY FLOW毎月の給与計算の流れ
毎月の給与計算は、勤怠の締めから納付まで、ほぼ同じ流れのくり返しです。
※源泉所得税は、給与支払人員が常時10人未満なら、納期の特例で7月10日と1月20日の年2回にまとめられます。
社会保険・労働保険の手続きは社会保険労務士の業務です。当事務所では社会保険労務士と連携し、給与計算から年末調整・税務まで一貫してサポートしています。
- 手取りは、総支給額から社会保険料・雇用保険料・所得税・住民税を引いた金額
- 社会保険料は標準報酬月額で決まり、定時決定(9月)や随時改定で見直される
- 所得税は扶養控除等申告書と月額表、住民税は市区町村の通知で決まる(6月改定)
- 残業代は時間外25%以上・深夜25%以上・休日35%以上・月60時間超50%以上
Q&AFAQよくあるご質問
Q通勤手当は社会保険料の計算に入りますか?
はい。所得税は一定額まで非課税ですが、社会保険料・雇用保険料の計算には含めます。
Q入社したばかりの人の住民税はどうなりますか?
前の会社で特別徴収していた場合は、手続きをすれば引き続き天引きできます。それ以外は、翌年6月から特別徴収を始めるのが一般的です。
Q給与計算ソフトを使えば、自動で正しく計算されますか?
計算自体は自動ですが、料率の更新や従業員の情報(扶養・年齢など)の登録は人がおこないます。設定の確認が大切です。
沖税理士事務所では、記帳代行から決算・申告、節税のご提案、税務調査の立ち会いまで、クラウド会計とオンラインで一貫してサポートしています。専用LINEなら、土日祝も24時間以内にお返事します。
※本記事は2026年10月時点の一般的な内容です。個別のご判断は、お気軽にご相談ください。

