会社を経営していると、「記帳」「決算」「申告」「節税」「税務調査」という言葉が次々に出てきます。この記事では、それぞれが何のためにあって、1年の中でどうつながっているのかを、図解でひとつずつ整理しました。はじめての方は、まずここで全体像をつかんでください。各テーマの詳しい解説は、順次コラムで公開していきます。
- 会計・税務の1年間の流れと、それぞれの役割
- 記帳・決算書・申告書が、なぜ大切なのか
- 節税と税務調査で、押さえておきたいポイント
01EXCLUSIVE SERVICES税理士にしかできない仕事
税理士法では、次の3つは税理士(税理士法人)にしかできないと決められています。無料であっても、税理士以外の人がおこなうことはできません。
税務署への申告や税務調査の立ち会いなどを、本人に代わっておこないます。
申告書や届出書など、税務署に出す書類を本人に代わって作ります。
「税金はいくらになる?」「どう申告すればいい?」という具体的な相談に答えます。
記帳代行や給与計算は、税理士でなくてもできる業務です。ただ、申告まで一貫して任せると、数字のズレや手戻りがなくなります。
02ANNUAL FLOW1年間のお金と書類の流れ
会計と税務は「毎日の積み重ね」でできています。
すべての出発点は「記帳」です。ここが正確でないと、決算書も申告書も正しく作れません。
03FINANCIAL STATEMENTS決算書とは?
会社の1年間の「成績表」と「健康診断書」です。
決算日時点の財産と借金。会社の「体力」が分かります。
1年間の売上・経費・利益。会社の「稼ぐ力」が分かります。
このほか、株主資本等変動計算書・個別注記表・勘定科目内訳明細書がセットになります。決算書は税務署だけでなく、銀行(融資の審査)、取引先、許認可の手続きでも見られます。
04KEY NUMBERS社内の数字を管理する大切さ
年1回の決算だけでは、手遅れになります。見るべき数字は4つだけです。
どれだけ売れたか
売上から原価を引いた儲け
毎月かかる家賃・人件費など
手元にいくら残っているか
四半期ごとの試算表で、ここまでの利益を確認できます。
資金が足りなくなる前に、銀行へ早めに相談できます。
節税は決算の「前」にしか打てません。途中の数字が必要です。
「決算が終わってから、利益が出ていたと知る」では、打てる手がありません。
05TAX SAVING節税とは?
「合法的に、手元にお金を残す」ことです。
法律の範囲内で、税金を減らすこと。
売上を隠す・経費を水増しする。犯罪です。
代表的な節税には、次のようなものがあります。それぞれ別のコラムで詳しく解説していきます。
赤字を翌年以降に繰り越せるなど。
会社と個人の税金のバランスを取る。
経営セーフティ共済・小規模企業共済。
少額の備品を一括で経費にできる。
お金が出ていくだけの節税は本末転倒です。現金を残す視点が大切です。
06STARTUP開業・会社設立の手続き
最初の手続きで、その後の数年が変わります。
※届出の期限は、開業日や設立日から数えて決まります。早めにご相談ください。
07TAX RETURNS税務申告書とは?
法律上の義務であり、会社の信用そのものです。
- 法人税・地方法人税
- 法人住民税・法人事業税
- 消費税
- 法人:原則、決算日の翌日から2か月以内
- 個人:翌年3月15日
- 延滞税・加算税がかかる
- 遅れが続くと青色申告の取消しも
- 融資の申込み
- 補助金の申請
- 公共工事の入札
※期限は原則です。延長の特例などがあります。
08FILING CALENDAR毎月・毎年の提出書類
決算の申告だけでなく、毎月・毎年の提出書類があります。
(納期の特例なら 7/10・1/20)
給与支払報告書・償却資産申告
申告と納付
- 決算書から所得を計算
- 会計と税務の差を別表で調整
- 赤字でも均等割は納付
- 預かった税−支払った税
- 本則か簡易課税かを選択
- インボイスの保存が控除の条件
- 1年分の給与と税額を記載
- 従業員へ交付
- 住民税の計算のもとになる
- 1年間の支払いを税務署へ報告
- 給与・報酬・家賃など
- 取引先の申告と突き合わされる
税務署は法定調書で、支払った側と受け取った側を照合します。提出漏れは調査のきっかけになります。
09TAX AUDIT税務調査の流れ
正しく記帳していれば、怖くありません。
税務調査は、税務署が申告の内容が正しいかを確認しに来るものです。一般的には、次のような流れで進みます。
税務署から連絡があり、調査の日程を調整します。税理士が窓口になります。
帳簿・通帳・領収書などを、調査官が確認します。
疑問点や誤りがあれば、その内容の説明を受けます。
誤りがあった場合は修正申告をして、差額を納めます。
- 日々の正確な記帳(総勘定元帳)
- 領収書・請求書・通帳の保存
- 説明できるお金の使い方
税務署とのやりとりは、すべて税理士が担当します。
10BOOKKEEPING記帳とは?
すべての数字の土台であり、税務調査で会社を守る記録です。
- 預金通帳
- クレジットカード
- 領収書・請求書
- 売上システム
勘定科目ごとに、すべての取引を日付順にまとめた帳簿。決算書も申告書も、ここから作られます。
調査官は元帳を1行ずつ確認し、通帳や領収書と照らし合わせます。
費用はかからないものの、時間と知識が必要です。間違いに気づきにくいのが難点です。
本業に集中でき、税理士のチェックで「調査に耐える元帳」になります。
※帳簿と書類は、法律で保存が義務づけられています(法人は原則7年)。
11PAYROLL給与計算のしくみ
細かいルールと毎年変わる料率にもとづいて、手取りを1円単位で計算します。
- 標準報酬月額の等級表で決まる
- 4〜6月の給与で毎年見直し
- 40歳から介護保険料が加わる
- 総支給額×料率で計算
- 通勤手当も対象に含む
- 料率は毎年4月に見直し
- 時間外・深夜:25%以上
- 休日出勤:35%以上
- 月60時間超:50%以上
- 所得税は扶養人数で毎月計算
- 住民税は毎年6月に改定
- 年末調整で1年分を精算
料率やルールは毎年変わります。正確に計算し、社会保険の手続きは社労士と連携して対応します。
12DOUBLE-ENTRY複式簿記のしくみ
ひとつの取引を「原因」と「結果」の2つの面から記録します。
たとえば10万円の売上が銀行口座に入金されたら、「預金が10万円増えた」という結果と、「売上が10万円あった」という原因を、左右に分けて同時に記録します。これが「仕訳(しわけ)」です。左側を「借方(かりかた)」、右側を「貸方(かしかた)」と呼びます。
借方と貸方の合計は、いつも同じ金額になります。ズレていれば、どこかに誤りがあるとすぐ分かります。
仕訳を積み上げると、財産の状態(貸借対照表)と儲け(損益計算書)が同時に作られます。
個人事業主が最大65万円の青色申告特別控除を受けるには、複式簿記での記帳が必要です。
13ACCRUAL期をまたぐ取引の処理
「お金が動いた時」と「費用・売上になる時」は、同じとは限りません。
支払った日や受け取った日と、費用・売上として計上する日がずれる取引は、決算のときに正しい期へ振り分けます。代表的なものは次の5つです。
車両・機械・パソコンなど長く使う物は資産に計上し、減価償却で数年かけて費用にします。
仕訳例:車両運搬具/普通預金翌期分の家賃・保険料などを先に払ったもの。サービスを受けるまでは費用にしません。
仕訳例:前払費用/普通預金着手金など、引渡し前に受け取った代金。入金されても、まだ売上ではありません。
仕訳例:普通預金/前受金期をまたぐ工事は、進み具合に応じて売上・原価を計上します。完成基準との使い分けが必要です。
仕訳例:完成工事未収入金/完成工事高期末に残った商品・材料は当期の費用にせず、在庫(資産)として翌期へ繰り越します。
仕訳例:商品/期末商品棚卸高ここを誤ると利益が実態とずれ、税務調査でも指摘されやすいポイントになります。
沖税理士事務所では、記帳代行から決算・申告、節税のご提案、税務調査の立ち会いまで、クラウド会計とオンラインで一貫してサポートしています。開業・会社設立のご相談も無料です。
※本記事は2026年時点の一般的な内容です。

